彼は、理想の tall man~first season~

「あの、」

「――ん?」

「もし、飲みに行くなら――ご一緒させて下さい」

「勿論、俺はそのつもりだよ」

「ありがとうございます」

「いや、ただね? 昨日も飲んで、今日もってなったら、俺は別にいいんだけど、美紗ちゃんはどうなのかなって。そこら辺りは、一応聞いておいた方がいいかなと思って」

「あ、はい」

「あんまり今日は飲みに行くって気分でなければ、食事メインの店に決めるし」

「あ、はい――すみません」

「ううん、付き合わせちゃってるのはこっちの方だから。そこら辺は、好き勝手言ってくれた方が、俺としては寧ろ気が楽」

「はい」


私の意志を尊重してくれて、私のことを必要以上に考えてくれているって、そう思ってしまっていいのかな・・・・・・。


人対人の付き合いの中で、敦君は、調和を重んじているように思える。

やっぱり学生のノリ的恋愛ごっこしかしていなかった私には、この落ち着きは未知の世界。

釣り合いが保てるようになるには、まだまだ修行が足らないように思うけど。

受け皿は、私が思っている以上に大きくて、広い。
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