彼は、理想の tall man~first season~
「なぁ、美紗」
「なに?」
「お前、見合いとかしたい?」
「――は?」
尚輝がとんでもなくあり得ないことを聞いて来た。
「見合い、したくないなら、ちゃんと色々考えろよ」
「えっ、ちょっと――なに? なんなの?」
なんでいきなりお見合い?
っていうか、なんなの?
そう聞き返したいのに、ダメだトイレ――と。
やっぱり色気のない言葉を残して、尚輝は去って行った。
「お見合いって、なによッ」
訳が分からずそう呟いた私に、そういう話があるみたいだよ、と。
何故かそう言ったのは中條氏だった。
「あの――え?」
そういう話って、なに? なんなの一体?
そうは思っても、今度は声が出なかった。
そんな私をよそに「尚輝に、君のお見合い話の相談が来てたらしいよ」と――中條氏は、私の知らない話を並べた。
ただ、それ以上深くは知らないけど、と。
中條氏は、そこで一線を引き、その話からは下がった雰囲気を見せた。
きっと、ここから先は、尚輝と私とがちゃんと話すことが必要だってことなんだろう――。