彼は、理想の tall man~first season~
だけど、“お見合い”って言葉が、私の頭の中でグルグル廻っていて、信じられない気持ちでいっぱいだった。
恋すらまともに出来ない私が、お見合いって。
もし、断れないような相手だとしたら、結婚しなくちゃダメってこと?
そんなの、断固として阻止だけど。
取り敢えずお友達から――とか?
っていうか、どこから来た話なのか知らないけど。
尚輝はちゃんと、断ってくれるんだよね?
急に不安に襲われた。
とことん誰かと恋をして――とか、そういう恋を、1回くらい経験しておけば良かったとか、変な後悔にも襲われ始めて。
隣に座る中條氏に、無意識にも視線を動かしてしまった。
目が合い、フッと軽く頬を緩めた中條氏。
涼しげで爽やかなその表情に、やっぱり――って思って。
何故だか私は、声を上げて泣きたくなったんだ。