彼は、理想の tall man~first season~
chapter.04*
そ知らぬ顔して戻って来た尚輝は、さっきまで座っていた場所に再び腰を下ろした。
「ちょっと、尚輝、どういうこと?」
「見合い、する方のが良かったか?」
「だから、そのお見合いってなに?」
「世話焼き好きのおばさんが、美紗にって、見合い話を寄越してきたんだと」
「いつ!?」
「先月」
「私、聞いてないけど」
「俺で止めてたからな」
「それって、お母さんが言って来たの?」
「そう」
「なんでお見合いなんか・・・・・・私まだ社会人三年目だよ?」
「女が社会に出る時代っちゃ時代になったけど、おばさんにはそういう考えがないんだろ」
「なによ、それ」
「女の幸せは、旦那を支えることってのを公言するくらいのおばさんだからな――要するに、暇なんだろ」
「おばさんの暇に付き合わされるなんて、ごめんなんだけど」
「だから、今、美紗にはいい人いるからって言って、断っといた。感謝しろよ」
「――ありがと」
断ってくれたんだ。
正直、助かったって思った。
なのに――
「けど、そろそろさ、マジで誰かみっけた方がいいだろ、美紗は」
急に真面目な顔した尚輝からの返し。