彼は、理想の tall man~first season~

「だから水球部入って、夏美を見て。これはもしやって警戒してたんだ。大体、中條に告った事、松本は知らないんだろ?」

「さぁ? どうだろうな――夏美が言ってなきゃ、知らないかもな」

「そこもまた計算高いんだよ。俺、松本に何度か忠告しようとしたんだけどな。松本は松本で夏美にベタ惚れって雰囲気だったし、あの2人はなんだかんだで、うまくいってたし。藤本は夏美が幸せならって感じで、2人とうまくバランス取ってたから。だからいいかと思って、言いはしなかったけど」


あの時代に、長山はそんなことを思いながら部に参加してたのか?

藤本と一緒にふざけていたあの長山が、あの時代にそこまで考えてたなんて、な。

そのことに、俺は軽くショックを受けていた。


「怖いのはこの先だな」

「どういう意味だよ?」

「中條には、特別、特定の女っていなかったろ?」

「ああ――まぁ、そうだな」

「美紗ちゃんは、俺から見て、変に男に染まってない。喩え中條との交際が初期の段階だとしても、お前に一直線。だとしてだな」

「―――」

「中條に特別な女がいるって知ったら、眠っていた女が叩き起こされるかも知れない」
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