彼は、理想の tall man~first season~

ここまで話が飛躍すると、男同士でする会話とは、到底思えなかった。

妄想好きの――どっかの女と話している気分になる。


「いや、夏美にも、子どもが2人いるからな。すっかり落ち着いてんなら、そんな心配する必要はないって思うけど」

「必要ねぇだろ」

「それでも、どこまでも女って女なんだよ」


結果、何が言いたいのか。

長山は、何かを危惧しているのか――。

話の内容が不気味でならない。

今更、夏美がどうのこうのってことは、流石にないだろ。

そう思う反面、昔からやたらと恋愛相談をされていたなと、ふと思い出した。


「今度の集まり、俺の話が半信半疑でも、気を付けて彼女の事見ててやれよ」

「――ああ、それは大丈夫だ。彼女に変な虫がついても困る」

「確かにな――既に付いてるって言っても過言じゃないけど」


誰とでも仲良く、というのが藤本の長所ではあるが。

惚れやすいという短所もある。

彼女の伴奏で、気分よさげに歌ってる藤本の背中に、2人して視線を動かした。


「藤本は、しっかりした姉さん女房じゃないと、って俺は踏んでるんだけどな」

「同感だな」
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