彼は、理想の tall man~first season~

「中條が彼女に振り回される恋愛だったら、うまく行きそうな気がするけどな」

「――そうか?」

「すかしてた中條が、女に振り回されるって、天変地異だろ」

「それ言い過ぎじゃねぇか?」

「いや、本当に万が一お前が振り回されることがあったら――少なくとも、恋愛感情がそこにはあるってことだろう?」

「そう――なるのか?」

「好きでもない女なら、中條は振り回されるに至らないだろ」


――違うか?と、そう聞かれ。

まぁ、確かにそうなのかも知れないと、長山の言っていることに、自分自身が納得していたりするから、結局はそういうことなのかも知れない。


「何かあったら、いつでも相談に乗るから、言って来いよ」


暫く会っていなかった間に出て来たであろう目尻の皺を俺に向けながら、長山は笑っていた。

それは、なんとなく幸せオーラを放っているようにも見え。

気持ち的な余裕なのかなんなのか?

ゆったり笑ったその雰囲気に、結婚を決めた男の度量を垣間見れた気がした。
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