彼は、理想の tall man~first season~

でも、確かに、何を着て行けばいいのか悩んでいたのも事実。

コスプレならコスプレで、決まっていた方が意外と楽かも知れない。


「美紗ちゃんは、家に高校時代の制服残してたりしない?」

「――はい?」

「別に自分で買う必要ないからね? なければそれは中條に買わせればいいし」

「えっ、」

「まぁ、そういう類の服を扱ってる店って、何気に増えたし。それに――後々使わないこともないかも知れないじゃない?」

「・・・・・・」

「バカか、お前は」

「いやぁ、結構いい案だと自負してるけど?」


戸惑いの私を余所に、自信たっぷりにそう言った長山さん。

藤本さんは、実に乗り気な感じで、「俺も選んでいいのか?」なんて言って、左から7番目を指定していた。


「ラッキー7は――浴衣、か」

「浴衣? まあ、ありっちゃありか。確か持ってたし」

「安く上がっていいだろ?」

「いい! それに、三十路超えの女子高生は流石に無理があるからな。浴衣なら無難だ」


藤本さんの彼女は、浴衣か。

私も女子高生なら、浴衣の方が良かったな。

私の歳だろうとも、女子高生はキツいと思うし。
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