彼は、理想の tall man~first season~

「アハハ、そうだよね。でも、昔着てたのがあれば、それが一番かもね」

「はい」


市販のコスプレ衣装は、絶対に丈が短いだろうし、サイズが私に合う物があるかどうか。

スケバンみたいなコスじゃ絶対に恥ずかしいし。

実家に制服が残っていればいいけど――。


深いキャラメルカラーのブレザーに、濃紺チェックのスカートと赤いリボン。

懐かしい制服のデザインを思い出して、久々に着てみたいような気がしないでもなく――なんとも複雑な気分だった。


「男は、何着てきゃあいい?」

「適当にスーツかなんかでいいんじゃん? お前ら男子高生になりたい?」

「それ冗談キツいだろ」

「な」


ってことは、男性陣はフォーマルスーツか。

敦君のフォーマル?

見てみたい気分に駆られるけれど、私は女子高生か――。

やっぱり色々厳しいような気がしてならない。


「ねぇねぇ、制服の時はルーズソックスだった?」

「え? あ、私が高校生の時は紺ハイが主流だったので」

「こんはいって、紺色のハイソックスってこと?」

「そうです」

「えー!! やっぱ、女子高生って言ったら、ルーズソックスだよな?」
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