彼は、理想の tall man~first season~
長山さんは、笑ってそう言ったけれど、男の人がここまでさらけ出して言うことって、あんまりない気がするから。
本当に大丈夫なのか、2人の仲が心配になってしまった。
彼女がどういう人なのか知らないから、私にはなんとも言えないけど。
藤本さんは、思っていることを言う事さえ面倒に思っているっぽいし――2人の付き合い方とかも解らないから、本当になんとも言えないんだけど。
「面倒臭いなら、もうやめとけよ」
「なぁっ!? 俺も自分で言ってて、改めて面倒だって思えて来たわ」
ふんっ――と、鼻を鳴らしながらビールを流し込む藤本さん。
その姿を見ていると、私達も、と――危惧する気持ちが芽生えて、不安になって来た。
何を思って、何を感じているのか?
敦君は今の所真っ新で、私には見えて来なくて、解らない。
だから――そういう部分で、不安に陥った。
敦君と私は、こういう部分で、些細な波風が立つこともなく、通り過ぎてしまうような気がして。
気付いた時には――既にすれ違っていた、みたいになり兼ねない気がして、一抹の不安を覚えた。