彼は、理想の tall man~first season~
物事には、始まりがあれば必ず終わりもあって。
恋愛に於いてもそれ然りだ。
かと言って、それを悲観するのではなく、始まりの時にしかないモチベーションというのは在るわけで。
今は今しか味わうことが出来ない、微妙な感覚を楽しむのがいいのかも。
初々しいね――。
言われたそれが、本当に他の人の目にそう映っている2人の画であるなら、これが答えなのかも知れない。
今の関係を懐かしく思う日を、いつか2人して思い返す日が来るのか――。
それとも、やっぱりぎこちなく終わりを迎えるのか――。
「どうした?」
ジッと敦君の横顔を見ていたらしい私は、急に視線と共にそう言葉を向けられて――否応なしにドキドキした。
基本的に爽やかな敦君の雰囲気は、清潔感にも繋がる部分があって。
ワイルド系も嫌いではないけれど、どちらかと言えばさっぱりした雰囲気の方が私は好きで。
やっぱり単純にタイプなのだと自覚する。
なんでもないと首を振って、誤魔化すために左手でグラスの中をクルクルかき混ぜたけど。
そんなにすぐには平常心なんて取り返せるものではない。