彼は、理想の tall man~first season~
「あの、でもっ、ちゃんとドキドキもするのでそういう部分でのそれはあれですけど。トータル的な感じで考えて、解りやすく言うと、落ち着く雰囲気を纏っているかなって」
「そうなんだ、ご馳走さま」
「えっ? あっ――」
顔から火が出るとは、まさにこのことなのだろうか。
藤本さんだけではなく、別個に話をしていた長山さんと松本さんまで、ふぅ~ん、みたいな感じで。
「いいな、中條。ちゃんとドキドキもしてくれてるらしいぞ」
「恋してるねぇ~」
ニヤニヤしながらそんな風に言われて。
もう本当にこの羞恥をどうしたらよいのやら――。
「もう本当にそれ以上は聞かないで下さいね。恥ずかしです」
慌ててそう言って、敦君にも変に迷惑をかけてしまった気がして、ごめんなさいと俯きながら謝った。
けれど―――
「嘘でも嬉しいよ」
「―――え?」
なににも動じない敦君からの優しい声色の囁きに、思わず顔を上げた。
フッと笑ったと思った瞬間、左手をポンと私の頭の上に置いて爽やかに微笑まれ。
ここがどこだとか、誰が居てだとかという、そういう機能が私の中で完全に停止した。