彼は、理想の tall man~first season~

「煙草吸う女って、どう?」

そう中條氏に聞いていた。

その問いに、自然と私の視線は中條氏へと移り、何故か答えを緊張しながら待っている私がいた。


「――個人の自由、だろ」

それは、特に気にしないというか、吸っても構わないということなのか。


「自分の女って立ち位置でも、それは変わらない?」

尚輝は更に、深く突っ込んだ質問を投げていた。


「マナーとTPO、それをわきまえた喫煙者なら特に気にしない、な」


それを聞いて、心の中でガッツポーズをしている辺り、気持ちはグラグラと動いていたのかも知れない。


けど――

「敦さんさぁ」

尚輝がそう口を開きかけて、なんだか嫌な予感に襲われた。


「酒が強くて煙草も吸う、173センチの女って、許容範囲内? 許容範囲外?」

「――っ!!」


ちょっと、何言ってんの!!


叫びたくなった尚輝の問い。

それに該当していたのは、正に私で――思いっきり尚輝を睨んだ。


許容ってなによ、失礼な!!

本人目の前に、聞くことじゃないし、チョイスする言葉じゃないでしょ、と。

血が沸騰しそうなくらいの怒りを感じた。
< 62 / 807 >

この作品をシェア

pagetop