彼は、理想の tall man~first season~

「ま、子どもが早く欲しいってのもあったみたいだけど」

「妊娠中は、やっぱり吸えないですもんね」

「んー止められない人間も、中にはいるみたいだけどね」

「――はい」


もしも私が――と、それを想像して、ちょっと怖くなった。

その重要な局面で止められなかったら、苦しい思いをするのは自分のお腹の中にいる胎児。


いやいや、怖い。

そうなったら、絶対にやめるでしょ――。


でも、そうなるまで吸う?

その時、そうなったら止める?


この際いつ止めてもいいような気もする。

でも、なんとなく――止めるには区切りが欲しい。


誕生日で止めようかな――。

止めたら月1万円弱は浮くことになるし。

智子にも、禁煙の勧めは耳にタコなほど受けているし。

25歳の誕生日を境に止めようかと、心の中で密かに思った。


「すっかり遅くなっちゃったけど、明日大丈夫?」

「あ、はい――気合いで起きます」


私の返答に、フッと笑った敦君は、明日は一体なにをしているんだろう?

聞いても問題ないのかな――。

会いたいは会いたい、けど。

付き合うペースってイマイチ良く解らないし。
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