彼は、理想の tall man~first season~
「あの、明日はなにをする予定なんですか?」
結局――勇気を出して聞いてみた。
けど、間違っても、明日なにしてんの?なんて、気安くは聞けないんだけど。
「明日は、出張報告書とか、月曜に会議があるから、その下準備かな」
「お仕事ですか、大変ですね」
「まぁ、それで給料貰ってるからね」
その言葉を聞いて、多分――会社の売上や利益を動かす側の敦君と、陰で支える私のような立場の人間とでは、仕事に対しての考え方とか大いに違うんだろうなと思った。
そんな私は、少しでもなにか出来ないかと、ふと思ったんだ。
勿論仕事のお手伝いとかではなくて、なにか――。
「あの、夜とか少し時間空きませんか?」
「ん?」
「あの、いつもご飯ご馳走になっているので、もしよかったらですけど、家でどうかなって」
自分から誘うなんてことは、否応なしに緊張で。
でも、それくらいのことしか私には出来ない。
「いいの?」
「はい。あ、多分尚輝もいると思いますけど。なにか食べたいものってあります?」
敦君は、考えるように首を軽く傾けた。
ただ、今の時点で、明日の夜食べたい物は、思い浮かばなくて当然だと思った。