彼は、理想の tall man~first season~

「肉系とか魚系とか、洋食和食とかでも」

「それなら和で魚がいいかな」

「和で魚ですね」


明日家事をしながらメニューを決めようと思いながら、早く明日の夜にならないかな――なんて思うのは、もう直ぐ家に帰らないといけないからで。

ちょっとの距離しか離れてもいないのに、寂しい気分に支配されていた。

昨夜みたいなことは、あれはあれで緊張するからあれだけど。

いざ離れるとなると、やっぱりそれは――寂しい気分になるわけで。


恋って、気持ちが休業することがなんもんなんだなと、夜空に向かって上がる煙りを見ながらふと思った。


「美紗ちゃんは、明日の昼間なにしてるの?」

「明日は、フルで家事ですね」

「――家事、か」

「洗濯して、掃除して、買い物に行って」

「尚輝は?」

「日中いるか不明ですけど、いたらこき使います」

「尚輝も家事とかするんだ」

「尚輝は気が向いた時じゃないと、あんまりやってはくれないですけどね」

「美紗ちゃんに甘えてんだろうな」

「あれは、出来るけどやらないんですよ」

「出来るけどやらないって?」

「多分、私に楽を覚えさせない為です」
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