彼は、理想の tall man~first season~
「楽を覚えさせない? それって――」
「尚輝が手伝ってくれたら、確かに楽なんですけどね」
「当然そうだよね」
「ただ、それじゃ、次もそれをやってくれるのかってなると、気紛れなのでそうはいかないんで。でも、私の記憶は手伝って貰えて楽を覚えてしまって、いいじゃんやってくれてもっていう気持ちが芽生えて」
「うん」
「そうなると、やらない態度にイライラして喧嘩っていう展開になるから。こっちは期待は持たず、様子見てやってくれそうならちょこっと頼むって程度ですかね」
軽く相槌を返しながら聞いてくれていた敦君。
「今はお互いその変うまくバランス取れているんで、そういう喧嘩は減りましたけど。学生時代はたまにそういうので喧嘩したこともあって。私の変な期待がそれを引き起こしてると思うと、無駄な期待はストレス溜めるだけって解ったから」
「疲れない?」
「会社もあるし――正直疲れますけど、金銭面では尚輝の方が負担の割合が多いから」
「そうなの?」
「はい――比率的には6割強尚輝が負担で、4割弱が私って感じですかね。多分尚輝はそこで多少バランスを取ろうとしてくれいるんでしょうね」