彼は、理想の tall man~first season~
尚輝が、お昼にそんなことをしているなんて、本当なの?
半信半疑だけど――でも、敦君が言うなら、なんとなく本当なんじゃ、とも思えてくる。
でも、普段はそんな素振りは全くないし、下手すればお弁当を自分から流しにさえ置きに来なかったりもするのに。
「美紗ちゃんは、もう少し言ってもいいんじゃない?」
「なにを、ですか?」
「悪意があってとかじゃなくてさ、言うだけでスッキリすることってあるでしょう?」
「は、い」
「それって、言ったことを頭ごなしに否定されると、逆にストレス溜めるだけだけど、言って気持ちが軽くなるものってあるでしょ」
「はい、ありますね」
「そういうのはさ、俺に愚痴ればいいよ」
「――え?」
ね?という視線を向けられ、戸惑った。
でも、確かに敦君ならって、そう思わせる要素を、確かに持ち合わせているなと思った私は、黙って頷いた。
それに対して、少し微笑んだ敦君のその雰囲気に、安心して身を任せられそうな――抱いたことのない感情を抱いた。
「露骨に相手の文句じゃないって、ちゃんと解るから」
「――ぇ?」
「表情見てたら、それくらいは見抜けるもんだよ」