彼は、理想の tall man~first season~

見上げた先にある、その広い背中は、間違っても頼れない男感は無くて。

寄り掛かりたいって思わせてくれる背中だった――。


会話は、結局敬語な感じが抜けていないし。

それに関して、敦君もゆっくりでいいって言ってくれたから、振り出しに戻ってしまった感があって。

特別そんなにグッと縮まった仲でもないけど。

でも――気持ちは以前よりも、敦君に引きつけられていると。

そういう感覚が自分の中にあるって、ハッキリと解る。


付き合い始めで、いきなりガーッ来られても、私は逆に引いちゃうから。

敦君のゆったりとした感じが、結構合っているようには思う。

尚輝の会社の先輩の延長線上での、ゆったりとした雰囲気でのお付き合い――みたいなのは、思いの外私には心地よくすらあるし。

それに、尚輝に対しても誠実な態度を取ってくれるから、安心感が常にある。


ただ、もう少し進展してもいい気もしていた。


まあ、実際そういうことになったら、きっと私は怖じ気付くんだろうけど。

だけど――敦君はどうなんだろう?

敦君の妹さんよりも私は年下みたいだし。


そういう雰囲気になることはないから――。
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