彼は、理想の tall man~first season~
でも、俺は――と。
中條氏がそう発した言葉に、不本意ではあるけど、私はかなり意識を集中させていた。
私の中では、久々にあり得ないくらいの緊張が走っていて、全身がピリピリし始め。
聞きたい、けど、聞きたくないような。
逃げ出したい――そんな風に思いながらも、意識は中條氏の方にちゃんと向いていた。
「それで多少気が強い子でも、許容範囲内だけど」
耳に届いたその言葉に、全身からピリピリとしていたものが、スッと抜けて行くのを感じた。
世の中には、奇特な人もいるんだね――なんて、私はどこか他人事に考えていた。
「なら、美紗でも、許容内?」
「ちょっ、尚輝!! 冗談でも、そういうの聞くのヤメテ」
こういう時の答えなんてアテにならないし、聞きたくない。
完全に面白がっているとしか思えなかった尚輝の言葉に、私は声を荒げた。
けど、「冗談で聞いてなんかねぇし」と――尚輝はそう言って、私を黙らせた。
今日の尚輝は、かなり変だ。
かなり性格が悪くも感じて、それにも私は戸惑わされていた。