彼は、理想の tall man~first season~

「まぁ、でも、相手はいい大人って言ってもいい年齢だから、自制が利くのかもしれないけどさ」

「自制って?」


智子がスルーしてくれて、ホッとしつつ、自制とはなんの自制なのかを聞いてみた。


「んー、やりたくてやりたくて仕方がないみたいな、血気盛んな年頃は過ぎたって感じかな」

「――なるほど」


そういう意味での自制か、と。

納得した私に対し、智子の勢いは止まらなかった。


「中條さんて、そういう変な意味ギラついたオーラはなかったから、その点では美紗の彼氏として安心してたんだけどさ」

「そう、ですか」

「美紗、手を出しにくい雰囲気にもってっちゃダメだよ」

「――え?」

「美紗は昔みたいに、なにがなんでもエッチすんのが嫌って感じでもないんでしょ?」


特に肯定も否定もしなかったけど。

智子は否定をしなかった私の気持ちは、見抜いている感じだった。

まあ、さっきの失言で、既に気付かれているんだろうけど。


「ね、前から思ってたんだけどさ、彼氏はダメで、なんで晃君は平気だったの?」

「――え?」

「付き合ってもない相手が平気で、どうして現役の彼氏とは出来なかったの?」
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