彼は、理想の tall man~first season~
「でもさ、本当に平日とか、会わないの?」
「うん・・・・・・週末も、特に約束とかはしてないんだよね。なんとなく、一緒にはいることになってるけど。なんか偶然がそうなって、みたいな」
「今週はどうするの?」
「今週は、金曜日会社終わったら納車だし、その後マスターの所寄って。ピアノも根詰めて練習しておきたいから、実家にも帰りたい気もするし」
「そっかぁ。ね、新車いよいよ手に入るの?」
「うん。今度どっか行く?」
「おお、いいねぇ。どっか近場で温泉とか行きたいかも」
ぶらり旅プランを2人で話しながら、夕飯を食べ終え。
それから、いつもより少し遅めの帰宅の途についた。
いつも電話を掛けてみようか、帰路の途中で思うけど。
なんとなく勇気も話題もなく、かけられずにジレンマ状態。
でも、それでも今日は思い切ってかけてみようかなと、思いながら電車を降りると――。
反対車線からブレーキ音を軽く鳴らしながら、電車が走り込んで来て。
先頭車両に乗り合わせていた私は、その電車を見ながらホームをゆっくり歩いていた。
結構遅い時間だから人もまばらだなとか思っていると――。