彼は、理想の tall man~first season~
私の前を歩いていた男性2人が突然立ち止まった。
いきなり立ち止まられ、歩く速度と歩こうとしていた進路の邪魔をされたので、速度を更に緩め、その男性2人を避けて追い抜き歩いていると。
――ねぇねぇねぇ、と。
その男性が発した声が背後で聞こえ、嫌な予感。
この時間に先頭車両に乗ったことを、後悔した時には既に時遅し。
私の両脇には、今さっき追い抜いた男性が2人。
「これから飲み直しに行くんだけど、一緒にどう?」
これが街中なら、間違いなくスルーで、人ごみに紛れて、はいさようなら、なんだけど――。
これは、改札まで歩いて行かないと駄目なパターン?
最悪だと思いながら早歩きしようと考えていると――。
シカトしないでよ、と。
完全に酔った感じの男は、突然腕を掴んで来た。
本当に、最悪――だ。
「あの、放して、もらえませんか?」
この状況でそう言っても、放す人なんていないだろうけど。
「ねぇ、飲み行こうよ」
「あの、本当に、帰らないとなので」
案の定、放しては貰えず。
「いーじゃん、明日木曜日だしさぁ」
今日が金曜だろうとお断りなんだけど――。