彼は、理想の tall man~first season~
変なことに巻き込むことになってしまうけど、今のこのピンチな状況で頼れるのは、ホームを歩いてる晃しかいない。
携帯をスーツにしまい、晃が顔を上げた瞬間――私は男2人を振り払って走り出した。
「あっ――逃げた!!」
後ろで叫ぶ声が聴こえ、驚いた顔で立ち止まる晃。
助けて――そう思ったけれど、逃げるが勝ちと思って、ダッシュで階段を駆け上がった。
「おい、どうした!?」
相手は酔っていたから、階段を駆け上がってまで、追っては来ないだろうと思っても。
やはりそこは怖さが勝り、上がりきるまで振り返れなかった。
ただ、タン、タン、タンッと。
何段か抜かして追って来る足音は耳には届いてて、上がりきったと同時に、晃が横にいて。
私は安堵した。
「――っごめん、なんか、からまれちゃって」
「さっきいた男に?」
「うん」
「取り敢えず、行くぞ」
足早に改札を抜け、タクシーを捕まえた晃は、私に早く乗るよう急かし。
乗込んだ後、ほんの少しの溜息を吐いた。
「ごめん、本当に」
「別に、謝られることでもねぇだろ」
「でも、ひとりじゃ、どうすることも出来なかったから」