彼は、理想の tall man~first season~
――ありがと。
そう言うと、なにが起きたのかを聞かれ、一部始終話すと。
気を付けろよと、普段とは違って、真面目な声で返された。
頷くと、ほんの少しの沈黙。
その後、タクシーの運転手さんが、夜は帰宅者ばかりだから、人波はあっという間に退くような話をし始め、だから気を付けて下さいね――と。
注意を喚起された。
「仕事で遅かったのか?」
「ううん、ヨガ教室行って、その後、智子とご飯食べてて」
「お前ら、水曜だってのに元気だな」
「そうでもないけど、そういう習慣だから」
軽くそんな会話をしながら、到着したマンション。
お礼を言って、タクシーから降りた。
「遅くなる時は、尚輝とかあっちゃんとかと、待ち合わせして帰って来た方がいいんじゃねぇの?」
「でも、今日みたいなことは、ここ来てから初めてだし」
「でも、帰りもこの時間だと、道歩くの怖くねぇ?」
「――まぁ、多少はね」
「変なのに追い回されたら、敵わねえだろ?」
「――うん」
「今日はたまたま俺が居合わせたから良かったようなもんで、いなかったら、マジにどうしてたんだよ?」
「それは――飲み行く振りをして、」