彼は、理想の tall man~first season~

プライベートの時間を経ての私の帰宅時間と、今日1日を仕事に費やした晃の帰宅時間。


男って、やっぱり女以上に大変そう。

そこまで忙しくもないなら、早く帰ればいいのにって思っちゃうけど――そうもいかない雰囲気なんだろうな。

勿論そういう会社ばかりではないとは思うけど。

前に男所帯な会社だって言ってたから、色々なしがらみもありそうだし――。


「あっちゃんとは、うまくいきそうか?」

「――え?」


油断していた時に振られた敦君の話に、動揺せずにはいられなかった。


「忙しそうにしてるからな、平日会う暇ないだろ」

「――うん、まぁ、そうだね」


忙しいんだろうなとは思ってたけど。

連絡を取らないから確実な状況かも分からない。

けど、同居人が言うんだから、間違いなく忙しいんだと思う。


「なぁ、美紗」

「うん?」

「お前さ、実はそんなにあっちゃんのこと、好きじゃねぇんじゃねぇの?」

「え? なに、いきなり? ちゃんと好きだし」

「ふ~ん、まぁ、どっちでもいいけど」

「なによ、それ」

「連絡取ってねぇんだろ?」

「――誰に聞いたの?」

「聞いてねぇよ、俺の勘」
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