彼は、理想の tall man~first season~
どんだけ鋭いんだこの男――。
言葉を発しない私に、お前の性格ならそんな気がしてた、と。
エレベーターの扉が開き、晃に続いて私もそれに乗り、密室になった空間。
「あんま遠慮してると、あっちゃんも勘違いするんじゃねぇのか?」
「――え、どういう意味で?」
「美紗が自分には気がないんじゃないかって」
「そう言ってたの?」
「言ってねぇけど――でも、あれだ。会いたいだのなんだのって、ごちゃごちゃうるさい女は面倒だけど、気持ちが見えない女ってのも何考えてんだか解んねーから、だんだん面倒になるんだよ」
「そうなの?」
「お前、メールも電話もしねーだろ?」
「え? まぁ・・・・・・」
「多少のアクションは起こしておいた方が良いと思うぞ」
「――気を付ける」
なんだかんだ、やっぱりいい奴な晃は、昔と変わらない態度でいてくれて、ちょっと安心していた私。
「今日の事は、俺からあっちゃんに言っておく」
「え――言わなくて、いいし」
「多少話盛って話しといてやるよ。そしたら、あっちゃんから嫌でも連絡よこすだろ」
「いいって、本当に」
「俺はそれでお前を諦めたいんだよ」