彼は、理想の tall man~first season~
chapter.30
「遅ぇぞ」
「あ、ごめん――ただいま」
「おかえりっつうか、お前こんな時間になんなら電話一本入れろ、心配すんだろうが」
「うん、本当にゴメン」
不機嫌丸出しで出迎えてくれた尚輝は、ノーネクタイだけど、シャツは着たままだった。
「ね、尚輝は――帰って来たばっかり?」
「そうでもねぇけど、美紗がまだだとは思わなかった」
「ちょっと、智子と話し込んじゃって」
「とっとと風呂入って寝とけ」
「――うん」
部屋に入り、明日の仕度やらをしてリビングに向かうと、尚輝はビールを飲んでいた。
「尚輝、夕飯は、食べたの?」
「牛丼食って来た」
「え――また牛丼? 牛丼て、そんなに美味しい?」
「朝昼晩の3食、3日連続でもいけるな」
理解し難い返答をした尚輝は放置して、私はバスルームに向かった。
時間が時間だし、シャワーでいいかと思って入ったバスルームは、意外にもお湯が張られていて。
尚輝が沸かしてくれていたことに、ちょっと感動――いや、だいぶ感動だ。
私は、急いで全身を洗って、湯に入った。
はぁ・・・・・・なんか本当に疲れたな。
階段ダッシュきつかったし。