彼は、理想の tall man~first season~
だけど、本当に、晃がナイスタイミングで現れてくれて、良かった。
私ひとりであのままだったら、今頃どうなっていたんだか。
昔から困っている時は、晃がタイミング良く現れてくれて、幾度となく助けてもらったけど。
『彼氏はダメで、なんで晃君は平気だったの?』
今日、智子に聞かれた質問を思い出して私は湯に顔を沈めた。
理由は智子に言った通り――だけど、少なからず初恋の相手だったというのも、晃に頼めた理由なんだ。
当時の私は、見ず知らずの誰かについて行って、その相手にどうにかうまいことやって貰おうとか、大胆な考えでいたんだけど。
それが怖くなって、出来なくなって――。
あの時、怖じ気づいて、どうしようかと思っていた私は、晃と偶然街中で会ったワケだけど。
それが、例えば同級生の誰かだったとして、私は頼めたのかって考えたら答えはノーで。
逆に偶然会ったのが晃だったから、安心して――頼めたこと。
見ず知らずの誰かが初体験の相手より、初恋相手の晃の方が断然良かった。
そんなこともあって、私の初めての相手は晃なんだけど。
こんなこと敦君や尚輝は勿論、智子にだって知られたくない。