彼は、理想の tall man~first season~
性格とか服装とかメイクとか料理の腕とか、自分の努力次第でそれをどうにか利に変えることは出来ても、背だけは低くすることなんて出来ないんだよね。
恋愛のことを考えると、気鬱にもなる。
だから、間違いなく世の中にいそうにない人を理想にして。
恋愛出来ないことを、そういう人が“いない・出会えない”を理由にしてきたけど――。
実際、尚輝の上司の中條氏は、正に私が作り上げた理想像みたいな人で、今日知り合った。
軽くときめいてしまった――のも事実だけれど、踏みとどまってしまうんだ。
「敦さん、意地っ張りな女でもイケんの?」
「問題ないだろ」
「良かったな、美紗」
「はぁ? なにがよ」
他人事だと思って!!
「見合い、自分で断るか?」
「えっ? そ、それは――イヤ」
私に脅迫まがいのことを言って来るなんて、やっぱり今日の尚輝はおかしい。
「なら、前に進む、努力をするか?」
「・・・・・・」
「お前、おばさんに自分で電話な」
「努力、しますっ!!」
あの、騒がしい世話焼き好きのおばさんと話さないといけないなんて、絶対に無理。