彼は、理想の tall man~first season~
私の部署には、ベテランのパートさんが3人。
家庭での話や、世間話メインのお昼休みは、会社で気の抜ける時間でもある。
「ねぇ、ねぇ、なんか最近村岡部長元気なくない?」
「あー、それ、私も思った」
「なんだろうね、いつもより覇気がないっていうかさー」
私以外のパートさんが口を揃えてそう言い始め、どう?みたいな視線を私に向けられた。
私はあまり気にもしていなかったから、そうでした?と、恐る恐る口にすると――。
「もう、美紗ちゃん気付かなかった? 一番近くにいるんだから、気にかけてあげなきゃ」
「そうそう、まあ、でも、あれね。奥さんと喧嘩でもしたんじゃないの?」
「部長の奥さんて、どんな感じなんだろうね?」
「部長は男前だからねぇ~なんか、可愛い感じの奥さんなんじゃない?」
「子どもまだだったっけ?」
「うん、子どもいるって話は聞いたことない」
「あ! 私、何年か前に飲み会の時に奥さんが迎えに来てたのチラッと見たことあるけど、これが後ろ姿しかみてなくてー」
私が会話に深く入らなくても、会話は勝手にポンポン弾んでくれるから、楽でもある。