彼は、理想の tall man~first season~
「ふぅん、やっと前に進む気になったか」
「・・・・・・」
建て前上ではですけど、ね。
頷いたら負けだと思って、話だけ聞いてますって顔を作った。
「まだ解ってないみたいだな。美紗、今この場で、おばさんに電話してやろうか? 見合いの話を進めてくれって」
「もう、進む気になりましたってば」
尚輝が鬼に豹変していた。
一体なんなの? っていうか、さっきからなんだか話がおかしくない?
例えば私が中條氏に好意を寄せそうな雰囲気を、双生児兄の尚輝が読み取っていたとしても。
でも、中條氏にだって選ぶ――というか、寄ってくるであろう女性を選定する権利は、あって当然でしょ。
なのに、流れ的に何だか変だ。
「敦さん、美紗は今ので、取り合えず紹介したってことで」
「――はぁっ!?」
「ありがとうな、助かったよ」
「んじゃ、美紗、ちょっと俺コンビニ行って来るわ。今ので煙草きれたから」
「え、ちょっと!! さっき私にくれたのあげるけど!?」
「あー、俺、あれ以外の煙草が吸いたいから」
「はぁっ?!」
尚輝は、このまま暫く2人きりにしようと企んでいるの?