彼は、理想の tall man~first season~

コンビニに寄って帰って来たのにもかかわらず、尚輝はまたそこに行くとか言う。

すでにお酒を飲んでいるから、手段は確実に徒歩だ。


「敦さんは、いい?」

煙草は――と、そう続けられた言葉。

中條氏が煙草を吸う人だったのかという事実に、そういう雰囲気がなかったから、ちょっと私は驚いた。


でも尚輝の意味不明な陰謀に、やってられない気分になって。

私は部屋に煙草を取りに、ソファーから立った。


本っ当に、意味わかんない。

紹介って、なんなの一体!?

もう、やけのやんぱちだわ。

こうなったら、女子度急降下の煙草を、吸って、吸って、吸いまくってやる。

これからひとりコンビニへ行くという、あからさま過ぎる尚輝の行動に、心の中で毒吐いてると、部屋のドアが開いた。


「美紗、部屋にこもるなよ」

「違うし、煙草取りに来ただけだし」

「ふぅ~ん」

「なによ、ふぅ~んて」

「美紗」

「なによ」


まだなにか?って目を、尚輝に向けると、尚輝はフッと笑った。


そして――

「好機逸すべからずだからな」

「はい?」

尚輝は意味不明な言葉を私の心に落とした。
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