彼は、理想の tall man~first season~
考えれば考えただけ、惨めに思えた――。
「どうしたの? 小難しい顔してない?」
「――えっ?」
「やっぱり気分悪い?」
「いえいえ、大丈夫です――ちょっと考え事をしていて、すみません」
夜でも表情を捉えられてしまったのは、街灯の下であったことが災いしたみたいなんだけど。
敦君が、何故だか私の顔を凝視してきた。
尚輝よりも高い位置からの凝視って、初めてで――それに、なんだろうって思って、私の身は固まっていた。
「あの、なにか――」
変に緊張していた。
喉の奥が凝り固まって、うまく言葉に出来ない。
だって、敦君の雰囲気が普段の柔らかい感じとは、全く違う。
「ゴメン、前に言ったことを撤回させて」
「――え?」
「やっぱり――いい加減やめない?」
「―――」
なにを言われているのか、意味が解らなくて。
だけど、良い話ではないって思って、頭が真っ白になった。
「本当なら、もう少しお互いを知ってから付き合い始めた方が良いっていうのも解ってんだけど」
「―――」
「なんだろうね――やっと会えたって気持ちの方が勝って、俺がちょっと焦ってたのかも」