彼は、理想の tall man~first season~
つまりは、始まってもいないうちに――終わったのだと、理解が出来た。
そう思うと、胸の奥が苦しくなって。
その痛みは喉の奥に突きあがって、苦しさを増長させた。
「ごめんね、美紗ちゃんは、ちゃんとした子で、すんなりっていうのも無理だって解ってるんだ」
「――はい」
「もう少し会う機会を作って、仲よくなってから俺が言えば良かったってだけの話だったんだけど」
「そんな、別に――」
それでも、結果は同じだったんじゃと、私の心はすっかり拗ねていた。
理想と現実は――やはりどこまでもかみあう事はないものなのだ。
「あの、ちゃんと解ってますから――だから、それ以上は、いいです」
現実を、ハッキリと言葉で突き付けられるのは、しんどい域に達していた。
だけど、私の言ったことに、訝しい眼差しを向けて来る敦君。
恋愛は、どこまでも私には不向きだと思ってやまない。
日曜日の約束も、これでなくなった――。
滅多に出会うことなんてないであろう理想の男性とは、結局飲み友の域でジエンド。
さっきまで楽しかっただけに、私のショックは半端なかった。