彼は、理想の tall man~first season~

尚輝が選んだタイプの方が、着た感じ、なんとなくスッキリしていて私好み。

フィッティングルームでどっちにするかは自分で決めて。

次いでサマースーツも選び、先ずは2着買ってもらった。


お気に入りのショップを転々とまわり、尚輝の荷物は増えて行く。


「美紗、一旦車に荷物置いて来るから、車のキー貸せ」

「はい――ありがと」

「見っかんなかったら電話するから出ろよ?」

「了解! ――行こうっ、お父さん」

「他には、何が欲しいんだ?」

「サンダルと靴が欲しいかな」

「尚輝にも、靴くらい買ってやらないとだな」

「そうだね――帰ったら私ばっかりって、怒られそう」


お父さんは不思議そうな顔をしたけど、実際おねだりし過ぎだとは自覚していた。

でも、お父さんも私もショッピングを楽しんでいる訳で。

私の喜んだ顔をお父さんは見たいって思ってくれているんだから――気にしたら負けだ。

それに、こんなことは、経済的に余裕があるから、出来ることなんだし。


「尚輝もお父さんに素直に甘えたらいいのにねぇ」

「昔から変に頼らない所があるからな、尚輝は」

「――長男だからかな?」
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