彼は、理想の tall man~first season~
「尚輝には、特別厳しくし過ぎた部分もあるかもな」
父は男としての部分で、男に必要なものを、私の知らない所で教えていたのかも知れない。
「そう言えば、尚輝の上司の、中條さんだったか――彼氏とはうまくいってるのか?」
「んー、」
「なんだ、んーって?」
「5、6歳年上だから、どうすればいいのかわからない部分があったんだけど――これからかなぁ」
「母さんが早く会いたがってたぞ?」
「お父さんは?」
「美紗に彼氏なんて、昔なら考えたくもなかったけどな――そういう年頃になったんだと思えば、会ってみたい気もする」
「もう、なぁに、お父さん――私にはお嫁に行って欲しくないの?」
「そんな話になってるのか?」
「ないよ! そういう次元の付き合いでもないし」
「いずれはそういうことにもなるかも知れないから――覚悟はしておかないとだな」
「もう、そんな覚悟は気が早いよ」
「そうは言ってもなぁ」
くすくす笑って街中を歩いた。
名字が変わることがあっても、お父さんは、私の最愛の父親。
「小さい頃、ずっとパパと結婚したいって私言ってたよね」
「そうだったな」