彼は、理想の tall man~first season~
「忘れ物はない?」
「うん――多分大丈夫。ね、お母さん、今度ゆっくりお父さんと遊びに来てね?」
「そうさせてもらうわ。その時は、彼氏にも会わせてよ?」
「うん」
晃も一緒に我が家で夕飯を食べて、いざ帰宅の刻。
ゆっくりという日程でもなく、名残惜しい気持ちで、荷物を車に運び入れた。
「晃君、また遊びに来て? 尚輝達がいなくても、大歓迎だから」
「あ、マジっすか? そんなこと言われちゃうと、毎週押し掛けますよ、俺」
「いいわよ? 私は大歓迎なんだから」
玄関先で、母親と晃のいつもの会話を無視して、尚輝は少し離れた所で喫煙タイム。
「お父さん、今日も色々ありがとね」
「気をつけて帰るんだぞ?」
「うん――お父さんも、来週のフライト、」
「ああ、大丈夫だ」
「うん」
やっぱりもう一泊くらい、って後ろ髪ひかれてしまうのは、両親が手厚く迎え入れてくれたから。
「帰ったら、連絡するね」
「本当に、気をつけてよ?」
「うん!」
「あ! そうだ、美紗、ちょっと――」
家の中に入って行く母に、なにかと思って私は家に引き返し。