彼は、理想の tall man~first season~
「あ――これだよね、車?」
笑って頷いた私に――敦君は車を見ながら、やっぱりかわいい車だね、なんて私の気分を持ち上げてくれる。
ぐるりとひと回り車を見た敦君と車に乗り込み、目的地である湖をナビに打込んだ。
「ナビで見る限りだけど、結構大きそうな感じだね」
「駐車場も、何ヶ所もあるから広い感じの所なのかな・・・・・・」
到着するまでは、どんな場所なのか分からないけど。
取り敢えず、湖に一番近そうな駐車場をセット。
到着予定時刻を告げるアナウンスを聞きながら、シートベルトを装着して、私はゆっくりアクセルを踏みこんだ。
父親を隣に乗せて運転した時もそうだったけど、敦君も父も、危ない時とか注視すべきポイントをたまに言う感じで、基本的には黙って静かに助手席に座ってる。
余計なことを晃みたいにやんや言わないから、勿論運転しやすくていいんだけど。
なんか、変に緊張する。
無口な教官を乗せて走る――みたいな。
沈黙が嫌だから助手席に座っている時は、私は話しかけちゃう派だけど――それって本来ダメだったのかな。
尚輝の隣に乗ることが多かったから、自然と身に着いた習性だったけど。