彼は、理想の tall man~first season~

でも、実際問題、集中力を削がれるから、それを嫌う人はいるだろうな――。


「美紗ちゃん、この先、丁字路の交差点を右折だから、そろそろ車線変更しておいた方がいいよ」

「――え? あ、本当だ」


余計なこと考える前に、先ず運転に集中しなきゃ!!

言われるのがもう少し遅かったら、車線変更はアウトだったかも。

自分的に、ベストなタイミングで、スイッと車線変更。

そして、敦君に言われなかったら、完全に左折しか出来なかった交差点を無事右折。


「ひゃー、危なかった。ありがとうございました」

「ううん。それよりこっち方面て、あんまり来ないでしょ?」

「んー初めて、ですかね」


向かう先は、市街地とは真逆の緑地。

何気に、こっちに引っ越して来てからは未知の世界だったり。


危なっかしい運転だって思われちゃったかな。

いや、そんなことより、運転に集中しないとだ。

せっかくの休日に、気疲れなんて、させちゃ駄目。


県道と住宅街を抜けて、森林色が濃くなって行く道を走り。

マンションから、1時間も走らず、まるで別世界みたいな所でナビのアナウンスは、目的地到着を告げた。
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