彼は、理想の tall man~first season~
昨日の今日だから、父の肩の位置と違うことに、少し違和感。
父も母も背は高い方だけど、敦君は本当に背が高い。
手の感触というか、肌質も――乾燥肌まではいかない感じで、いい塩梅のサラッと感。
少し骨ばった硬い印象の手は、どれだけの水をかいて生きて来たのか。
泳ぐ姿も、機会があれば見てみたいな。
ゆっくり半周くらい歩いて、設置されていたベンチが目に留まった。
「ちょっと座ろっか」
頷いて、肯定した私に、笑顔を向けてくれた敦君と、ベンチに腰を下ろした。
陽がある時間だからなのか――惚れている欲目か――やたらと笑顔が眩しく感じる。
こういう穏やかな休日の過ごし方も悪くないなって思うのは、きっと相手が敦君だからなんだろうな。
「昨日は、日中は、実家で過ごしたの?」
「え? あ――昨日は、父と尚輝と3人で、ショッピングに出て、」
「へぇ、お父さんと? ああ、前に仲が良いって言ってたもんね」
納得したように頷いていた敦君に、微笑み返し。
智子作戦な会話は本当に上々。
「何か買ってもらったの?」
「えと、服とかを中心に」