彼は、理想の tall man~first season~
「あ、ビールだけじゃ、飽きますよね」
そう言って、適当な理由で席を立った。
焼酎かワインかウィスキーか。
日本酒は、今日は私が飲みたくないからという勝手で、除外。
どれにしようかなと、悩みつつ手にした一本のボトル。
グラスを持って、私は定位置へと戻った。
『これでいいですか?』とも聞かず。
「ロック派ですか? 割る派ですか? それともストレート派ですか?」
――中條氏の様子を窺った。
こんなことでは、中條氏のお酒の力量なんて見極められない。
けど、飲めない男に用はない。
酒癖が極端に悪い男も嫌だけれど、男がお酒を飲めないというだけで、私の中では論外だ。
父親は結構お酒好きだけど、職業柄、常日頃飲めるというワケでもなかった。
sensible drinking――それを頑なに守る人で、自己管理には厳しい人。
そういう父が、私は大好きで。
数日間家を空けた父が帰宅した翌晩に、母が父にお酒を注ぎ、それを美味しそうに飲む父の姿も大好きだった。
父と母のような夫婦に憧れ――私にも、いつかそういう人が現れるのかな――とか。