彼は、理想の tall man~first season~
ウィスキーをグラスに注いで、氷も入れずに作った私に「相当飲めるでしょ」と、中條氏は笑っていた。
私のウィスキーの1杯目は、決まってストレート。
「ストレートで飲んで、体が熱くなり始めてからのオン・ザ・ロックが好きで」
それは、父の飲み方を真似ただけ。
だから、私が家で飲む時は、いつもそんな感じだ。
合わせてくれると言うのなら、好き勝手に飲ませてもらおうと心に決め、ストレートで先ずは一杯ぐびぐび飲んで。
そして「ただいまー」なんて、尚輝が帰って来てから、それこそ本格的に飲み始めた。
「敦さん、この前吸ってた煙草で良かった?」
「ああ、なんでも。サンキューな」
「美紗、お前メンソール吸いたくなって来ただろ」
「え? うん」
「ん」
「あ、ありがと」
尚輝は、なんでもお見通しだ。
ついでにウィスキーを飲んでるだろうとまで予想をして、ロックアイスまで買って来てくれて、食べたいと思っていたアイスまで買って来てくれた。
尚輝の分のグラスも用意して、一体全体、何に乾杯なんだかって気分でもあったけれど、再び乾杯をした。