彼は、理想の tall man~first season~
「本当に解ってるの? それに中條さんがシャワー中に出掛けるとか、本当に頭おかしいでしょ?」
「美紗、マジで時間ねぇんだって。もう集合に間に合わなくなるから、小言は帰ってからたっぷり聞く。敦さんの朝飯とか、色々頼んだからな」
「無責任!!」
「緊急事態だ」
「最っ低!!」
今世紀最大に、尚輝が無責任だと思った。
本当に昨日から、尚輝の奴!!
尚輝の言う、緊急事態を理解してあげられなくもない。
だけど、お客様でしかも上司で、今バスルームにいる中條さん放置で、バスケの試合行くなんてあり得ない。
いくら今日が決勝戦だからって、なんなんだ――。
社会人体育のバスケットの地区大会。
昨日の準決勝で、怪我をしたメンバーがいて、出られるメンバーがギリギリだからという理由で、晃から助っ人頼まれたからって、普通行くかって話だ。
「敦さん、本当にゴメン!! 帰りは美紗に送らせるから」
脱衣所から中條氏に声を掛けている尚輝は、本当にバカとしか思えなくて。
送らせるって、なによ!! と怒り込み上げ混じりに思っていると――。
「美紗、俺の車は好きに使っていいから、マジ頼むぞ」