彼は、理想の tall man~first season~

一瞬、動きを止めて考える。

尚輝か晃か――でも、割と静かにノックされたから、もしかして、と思った。


尚輝と晃しかいなかったら、間違いなく内鍵をかけて出ない所だけど。

なんて考えていたら、再び遠慮がちにドアがノックされた。

半信半疑ではあったけれど、敦君かな?って思って、そっとドアを開けた。


「入ってもいい?」

「あ、どうぞ」


私は、せわしなくなった心拍に気付かない振りをして、ドアの前に立っていた敦君に部屋に入って貰った。

部屋の中では、パソコンが起動中で、画面がカラフルに変化。


「もしかして、仕事しようとしてた?」

敦君のその言葉に首を振った。


「ちょっと、会社までの道順を調べようと思って」

いきなり2人きりの空間に、どうしていいのやら――戸惑いながらも、起動が完了したパソコンに向うと、敦君もパソコンの側へやって来た。

私は地図ナビの検索画面で、出発点と目的地を入力。

2人で検索結果待ち。

2人きりの空間で、少し緊張していたからなのか?

ルートが出てくる時間を、もどかしく感じた。
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