彼は、理想の tall man~first season~
私ともう1人は――当時、仲の良かった有紀(ゆき)。
有紀は男バスに好きな人がいたから、私も応援しに行きたいと言って、一緒に行ったんだ。
『マコチン、頑張ってー!』
有紀の力のこもった声援も含めて、試合映像が残ってる。
青春だな――なんて思えて、思わず笑ってしまった。
晃も尚輝もレギュラーで、有紀が応援してるマコチンも勿論レギュラーメンバー。
尚輝も晃の姿が若い。
俊敏な動きでコートの中を動き回っていてる。
序盤はうちの中学が割と得点を重ねていた。
マコチンがシュートを決める度に、有紀の『マコチン、ナイッシュート』が、もれなくテレビから聞こえて来る。
意外と私は冷静に見れていたのか――私の声は聴こえることなく、超静かだった。
でも、蘇ってくる記憶の限りでは、必要以上に私が緊張していたから――声を上げる余裕がなかったんだと思う。
高校に入ったら、多分部活はやらないって尚輝が言っていたから、これに勝たなければ、尚輝のバスケは見れないって当時の私は思ってて。
うん、うん。
間違いなく、私は緊張状態で、この試合の行く末を、祈るように見守っていた。