彼は、理想の tall man~first season~
「尚輝も晃も動きが速いな」
「あっちゃんもっと誉めて」
「ついでに足すなら、尚輝のキープ力と、晃のパスワークで、チームが動いてる感じか?」
「さっすが、あっちゃんわかってんねー」
誉めると調子に乗るタイプの晃は、気分良さげに焼酎を煽り、尚輝は笑いながらも、黙って映像を見ていた。
私は、特に細かいことを気にしないで、単に試合を見ていたけど、確かに言われて見れば――って、納得出来る場面が多々あった。
私の着眼点なんて、点が入るか入らないかくらいなものだったけど、やっぱりちゃんとした人が見ると、違うものなんだな。
手を使う球技をやる授業の時、常に見学をしていた私には、やっぱり理解出来ない部分なのかも。
簡単なルールは解るけど、あくまでどっちに攻めて――程度なものだ。
それは体育の授業を見学している時、得点板係だったから、理解出来たというのもあるけど。
当時はピアノ中心な生活で、学校の理解も得られていたこともあって、親の一筆があれば、指に支障が出そうな体育の授業は見学で大丈夫だった。
パスを受け、ゴールに向かってドリブルして、シュートしている尚輝。
いいな、楽しそう。