彼は、理想の tall man~first season~
筋肉フェチな私には、見せたらアウトな筋肉で、それに惚れない方がおかしいでしょ、ってな肉体美。

私は朝から男の色気にやられ、いよいよ本格的なドキドキに突入しつつあることを、実感させられていた――。

中條氏が着替えを済ませ、此方へやって来て、シャワーありがと――なんて律儀にも爽やかにお礼まで述べてくれて。

さっき見てしまった肉体と、私の直ぐ目の前に立っている中條氏は、同一人物。

それを変に意識している自分に戸惑わされる。


「あの、」

「ん?」

「えっと、今日は、」

「ああ、そうだ。今日はどこのディーラー行くの? 実は俺も車欲しいと思ってたから、丁度いいと思って」

「――えっ、本当ですか?」

「車、日本から離れる前に親に預けてたんだけどさ」

「はい」

「だけど、帰って来たら、なんでか廃車になってて」

「え――廃車ですか?」

「うん。親が買い物かなんかでどっかの駐車場に停めてたら、どっかのじいさんが、何を思ったのか俺の車に突っ込んだらしくて、大破したみたいでね」

「そ、それは、災難というか、なんというか」

「でしょう?」

「はい」


だからタイミング的には良かったよ――と。
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