彼は、理想の tall man~first season~
中條氏はどこか楽しそうに笑っていた。

これで私が、中條氏の同伴を断る理由がなくなってしまった。

つまりは、一緒に行くということで決定らしく。


「あの、でも、私の行くディーラーって、国産メーカーですけど?」

「俺も、外車は乗らないな」

「そう・・・・・・です、か」

「うん、国産車で久々に乗りたいと思う車も出てるし」

「それって、」

「友達にディーラー勤めがいるんだよね」

「そうなんですか? 凄いですね」

「確か、ここからならそんなに遠くないと思うよ」

「本当ですか?」


買う車は決めているのかとか、いくつか質問を受けながら、車の話に花が咲き、軽めの朝食を一緒に食べた。


なにしてんだろう私って、そう思いながらも、それは結構楽しいひと時で。

中條氏は話やすくて、話もキチンと聞いてくれる人で。

単に話を合わせてくれているだけなのかも知れないけど、なかなか合うんじゃなかろうかと、私は勝手に密かにそう思っていた。


いいじゃんか――と。

中條氏推しをしてくる私と、もっと冷静に考えなと、抑えようとする私が、心の中で闘う。


昨日、許容範囲がどうのという微妙な話はしたけど―――。
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