彼は、理想の tall man~first season~
到着したのは、買おうか悩んでいた車のディーラーだった。
そこに、中條氏の友達の営業マンがいるらしく、私はワクワクとドキドキで、少し緊張していた。
「試乗するんだよね?」
「はい、乗ってから決めます」
私は、A社とB社の対抗車種で決め兼ねていた。
B社の車を試乗していなかったから、今日乗って決めようという感じで。
中條氏は、友達の所だけど、買わないなら買わないでそれは別に気にしなくてもいいから――と。
でも、買うなら値切ってあげるよ――と、そう言って、この店舗に連れて来てくれた。
* * *
「――いかがでしたか?」
「んー、A社のは、結構広そうで、だけど高さ的な空間があまりなかった気もするんで、空間的には今の車の方が良かったです・・・・・・けど」
「なにか、他に気になる点がございましたか?」
「こっちの方がやっぱり値段がちょっと高いんで」
「そ、そうですよね」
「向こうの車だと、グレードを1番いいのに上げても、まあそれなりだったんで。 でも、この車だとそれにしちゃうと予算が違って来ちゃうかなって」
「はぁ・・・・・・そうですか」